「消費税」カテゴリーアーカイブ

消費税の軽減税率って本当に負担が軽減するの?

こんにちは。
税理士の鎌原です。

今日は消費税のお話です。
軽減税率とか複数税率って聞いたことありますか?

世間で持たれているイメージが偏っているなと感じるので、ぜひおつきあいください。

2014年の4月から消費税が8%になり、なんとなくいろんなものが高くなったなと感じているかもしれません。これが10%になったらかなり負担が大きくなるなと漠然と考えていると思います。そこでこの軽減税率とか複数税率とかの話が出てきました。

軽減税率という表現だと誤解が生まれるので複数税率と表現したいと思いますが、複数税率とは食料品などの生活必需品に対して低い税率を設定するなどものによって税率を変えるやり方です。ヨーロッパなどの付加価値税の税率が高い国ではほとんどの国で導入されています。

あなたはこの複数税率にどのようなイメージをお持ちでしょうか。

安くなるならその方がいいなと思う方も多いのではないかと思います。

でも本当に安くなるのでしょうか。

私は期待するほど安くならないと思っています。

なぜなら複数税率になると普通は事業者が負担するコストが上昇します。事業者も利益を出さなければならないので、そのコスト分は本体価格に上乗せされる可能性が高いです。もちろん見た目の税率は低いですが、本体価格が上がってしまうと結局支払う金額は増える可能性があるのです。

また、よく低所得者対策としても主張されることがありますが、生活必需品に限って複数税率を採用するとしてもその消費額が本当に多いのは高所得者で、低所得者が軽減を受けられる金額は限定的です。低所得者対策であればマイナンバーも始まることですし、直接還付をするか給付をするなどした方がよっぽど効果的で貴重な税金を無駄にしません。

税理士が言うと処理が大変になるから反対していると思われがちですが、そんな小さな話ではなく限られた税金の財源をいかに効率よく使うかを考えると単一税率の方が優れていると思うのです。

税率が安いと聞くと耳触りがいいので、政治家としては都合よく主張できますし、業界団体からの票集めも期待できるのかもしれませんが、社会的コストを考えると私は全く賛成できません。

実はあまり知られていないかもしれませんが、日本経団連をはじめとした経済団体も多く反対しているのです。

他にも理由はあるのですが、どうか軽減という言葉だけに反応せずにその本質を知っていただけるとうれしいです。

あまり興味を持たないと、なんとなく仕方がないと思うかもしれませんが、私たちのような専門家がもっと一人ひとり丁寧に説明していくことで世間に現実が伝わればいいなと思っています。

いかがでしたでしょうか。
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それでは次回もお楽しみに。

消費税と原則課税・簡易課税について

消費税は私たちの生活の中で最も身近な税であるといっても過言ではありません。そんな身近な存在である消費税ですが、あなたが事業者であるなら、実は利用する制度によっては消費税の納税額を低く抑えることができます。

ここでは、消費税と原則課税・簡易課税について簡単にご紹介いたしますので、お得な方をお選びください。

原則課税方式

原則課税方式は、預かった消費税から支払った消費税の差額を計算し納税する方法です。そのため、損得は発生いたしません。通常は、この方法により計算し消費税を納付することとなります。

簡易課税方式

簡易課税方式は、課税売上高をもとに消費税額を計算します。単純化した計算式にすると、「課税売上高×税率 — 課税売上高×税率×みなし仕入れ率」となります。

原則課税方式では上述の通り、預かった消費税から支払った消費税の差額を納税する方法ですので損得はありませんが、一方で簡易課税方式の場合は、損得が発生する可能性があります。原則課税方式を採用するか、簡易課税方式を採用するかは、その他にも考慮するべきことがありますので、税理士に相談して慎重に行う必要があります。

なお、簡易課税方式を採用するためには、一定期間の課税売上高が5,000万円以下で、かつ、簡易課税制度の適用を受けるための届出書を事前に税務署長に提出している必要があります。また、各事業の仕入率は次の通りです。

【みなし仕入率】

第一種事業(卸売業) 90%
第二種事業(小売業) 80%
第三種事業(製造業等) 70%
第四種事業(その他の事業) 60%
第五種事業(サービス業等) 50%

※平成27年4月1日以後開始する課税期間からみなし仕入れ率が変更となります。
・金融業及び保険業が、第四種事業から第五種事業へ
(みなし仕入率60%→50%)
・不動産業が、第五種事業から新たに設けられる第六種事業へ
(みなし仕入率50%→40%)

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ご相談時には丁寧で分かりやすい説明を心がけておりますので、万が一分からないことがございましたら、お気軽にご質問ください。

消費税が中間納付の3倍に!

皆さんこんにちは
税理士の鎌原です。

消費税の中間納付とは年間消費税納付額が60万円以上となった事業者が翌年分の消費税の前払いとして納付するものです。

中小企業の多くは前の年の年間消費税額の半分を決算の6ヵ月後に納付し、その年の決算のときに残りの金額を納付します。

その年の売上・仕入れの規模が前年とほぼ同じであれば、決算のときに納付する金額は中間納付の金額と同じくらいになるはずです。

しかし、今年は違います!決算のときに納付する額が中間納付額の約2倍にもなるのです!

例えば3月決算の会社が平成26年3月期に納付する年間消費税が120万円だったとします。
翌期の中間納付の金額はその半分ですから60万円です。

しかし売上・仕入の規模が前年と全く同じだったとしても決算のときに納付する消費税額は132万円にもなってしまうのです。中間納付の2.2倍です!

もちろんこれは消費税が5%から8%になってしまったことが原因なのですが
中間納付の規定については以前のままですので、すでに8%分をもらい始めているにもかかわらず5%のときの金額をベースに中間納付をするためにこのようなことが起こります。

ちなみに3月中間といって3ヶ月ごとに中間納付を支払う制度もあり、これは年間消費税額が500万円を超える場合に対象となるのですが、こちらの制度ではなんと決算時の納付額が中間納付額の3.4倍までになってしまいます!

例えば前年の消費税額が600万円だとすると中間納付3回が150万円なのに対し、決算時の納付額が510万円にもなります。(前年同規模)

決算のときに5%が8%だからと前年の1.6倍くらいで考えていると決算のときに慌ててしまうということも考えられますのでぜひしっかりご準備いただきたいと思います。

消費税の滞納はやはりかなり増えてしまうのではないかと危惧されます。